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底地の予防管理がもたらす6つのメリット

底地の予防管理は将来的な底地の売買の後押しにつながる!底地の予防管理がもたらす6つのメリット

2021/09/16

底地(そこち)とは、借地権付きの土地を意味します。借地人は借りた土地に住宅を建てて居住し、 地代などを土地の所有者に納める形です。同じ土地に別々の権利が発生するため売買が難しい点も。 ここでは底地の予防管理がもたらす6つのメリットを紹介します。

底地の予防管理がもたらす6つのメリット

底地は相続などで入手するケースが多いかと思われます。特に遠方の底地の場合、仕事の都合などでな かなか訪れる機会もなく、そのまま放置しているということもあるかもしれません。とはいえ、底地の放置は、次のようなトラブルを招くリスクも含んでいます。

《底地の放置によるトラブル例 》

  • ・底地の不法占有(不法占拠)
  • ・底地への不法投棄
  • ・転貸や無断転貸(また貸し)
  • ・地代や更新料の支払い
  • ・地代の条件見直し(値上げなど)
  • ・借地条件(増改築など)

底地を予防管理することで、上記のトラブルを未然に防ぎ、将来的な底地の売買において資産価値を下 げずに済むことにつながるでしょう。

 

底地の予防管理のメリット1:不法占有(不法占拠)を防ぐ

底地の予防管理のメリットのひとつに、不法占有(不法占拠)を防ぐ点があげられます。 不法占有(不法占拠)は、土地の所有者(地主)が近くに居住していなかったり、不動産会社の管理 物件でない場合に起こり得るトラブルです。

 

・消滅時効

2020年4月1日より施行された改正後の民法では、消滅時効適用のタイミングが変更されています。

民法の種別 消滅時効適用のタイミング
旧民法167条および169条  債権:10年間行使しない時点で消滅
 財産権:20年間行使しない時点で消滅
 ※ 債権もしくは所有権以外 定期給付債権:5年間行使しない時点で消滅
新民法166条  債権
 1.権利の行使を知ってから5年間行使しない時点で消滅
 2.権利の行使が可能となってから10年間行使しない時点で消滅
 財産権:20年間行使しない時点で消滅
 ※債権もしくは所有権以外

 

底地の不法占有(不法占拠)に関連することが想定されるのは、旧民法の「定期給付債権」です。 もし5年以上地代の滞納が見受けられるようなら、消滅時効が適用される可能性があります。 ただし、地代を毎月受け取っている場合には、消滅時効は適用されません。ご安心ください。

 

・取得時効

非常に稀なケースではありますが、長期間放置されていた底地は、取得時効によって、他者の所有物となることも考えられます。

  • ・所有する意思を20年間持ち続けて平穏かつ公然と占有された底地
  • ・所有する意思を10年間持ち続けて平穏かつ公然と占有された底地
  • ※占有開始の時点で過失がなく、善意であることが条件
  •  

10年や20年の期間に渡って、他人の土地を平和的に占有するのは困難でしょうけど、絶対にあり得ない とも言い切れません。
契約書の有無を確認しておきましょう。

・参考資料:e-GOV「民法」
https://elaws.e-gov.go.jp/

・民法改正に伴う消滅時効の見直しについて
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/ 0000170991.pdf

 

底地の予防管理のメリット2:転貸や無断転貸(また貸し)のリスクを防ぐ

転貸や無断転貸(また貸し)のリスクを防ぐことも予防管理のメリットとして挙げられます。 借地人が地代を払い続けていても、借地人が第3者へ無断転貸(また貸し)し、更に賃料を受け取っ ているような場合には、地主側が発見することは困難です。 実際にあった例として、借地人以外の第三者が長年住み続けていたため、占有による時効取得などを 主張してきたケースが過去にありました。 地主側も代が変わった際には、改めて借地人と住んでいる方をしっかり認識しコミュニケーションをとっておくことが大切です。

 

 

底地の予防管理のメリット3:不法投棄の防止

 

底地などへの不法投棄が起こりやすいケースとして、以下の3つのパターンが想定されます。
・通行人などからの不法投棄
・不法投棄目的で土地を借りる
・土地の造成工事

 

通行人などからの不法投棄

人目につきにくい場所には、通行人などからの不法投棄が起こりやすい傾向が見受けられます。底地 への不法投棄の大半はこのケースに該当するのではないでしょうか。

不法投棄目的で土地を借りる

あらかじめ不法投棄を目的として、土地を借りる事業者なども存在します。資材置場などの名目で土地 を借りて廃棄物を放置し、頃合いを見計らって逃亡する手口です。

土地の造成工事

土地の造成工事の際、解体した部材などの廃棄物を地中に埋めるケースもあるようです。 民家の場合なら浴槽や浄化槽が埋まっていることも。

 

底地への不法投棄を放置することで生じる3つのデメリット

 

底地への不法投棄を放置することで、次の3つのデメリットが生じる可能性があります。
・底地の実勢価格の低下→将来的な売買への影響
・廃棄物の撤去費用
・行政処分(廃棄物処理法に基づく措置命令)


底地の実勢価格の低下⇒将来的な売買への影響

底地への不法投棄を放置したままの状態は、底地の実勢価格の低下を招きます。

「土地の評価額-廃棄物の撤去費用」となるためです。 相続時の遺産分割などで底地の売買を検討する際にも、決して小さくない影響を及ぼすでしょう。


廃棄物の撤去費用
本来であれば、不法投棄を行った事業者や個人が廃棄物の撤去費用を負担すべきなのですが、「誰が捨てたのかわからない」ことがほとんどです。
仮に投棄した事業者や個人を突き止めたとしても、経営状態などを理由に「無い袖は振れない」とな ることも想定されます。
では誰が廃棄物の撤去費用を負担するのでしょうか? 不法投棄の状況を警察や自治体に相談することはできますが、問題の解決に結びつかなかった際に は、土地の所有者が廃棄物の撤去を担うことになります。
廃棄物の分量や底地の面積にもよりますが、回収業者に依頼した場合、数十万円から百万円単位の費用を請求されることを覚悟したほうが良いかもしれません。


行政処分(廃棄物処理法に基づく措置命令)
底地に不法投棄された廃棄物の放置は、自治体より行政処分(廃棄物処理法に基づく措置命令)を受 けることも考えられます。措置命令に背いた場合、逮捕や起訴につながることもあるため、否が応でも 廃棄物を撤去せざるを得なくなるでしょう。

 

不法投棄に悩まされる前に「予防管理」で防ぎましょう

 

不法投棄を防ぐためには、定期的な訪問者が存在することが大切です。
借地人が居住していることはもちろんのこと、借地人の状況(健康面など)を確認しておきましょう。
底地の所有者が訪問するのが難しい場合には、不動産会社などに管理を依頼することも選択肢に加えることをおすすめします。


尚、借地人が高齢者の1人暮らしの場合には、草木や害虫など庭の手入れが行き届かなかったりする事もあります。そのような所には不法投棄やゴミのポイ捨てなども増える傾向にあるため注意が必要です。
地主から借地人に直接伝える場合は些細な事でトラブルに発展するリスクもあるので、不動産会社や第3者が入れて円滑にやり取りをしたいところです。 街の不動産会社に依頼する場合、管轄外の業務になるため対応してくれないケースも見受けられます。
弊社の予防管理では土地や地域のクリーンを保ち、快適な街づくりを心掛けておりますので安心してご相談ください。

 

 

底地の予防管理のメリット4:地代や更新料の支払いに関する問題の解決

 

底地の予防管理のメリットには、地代や更新料の支払いに関する問題の解決もあげられます。


地代の支払いに関する問題
まずは、底地と借地の違いと関係性をもう一度おさらいしておきましょう。
土地を貸している⇒地主(底地の所有者) 土地を借りている⇒借地人(借地権を持つ方)
同じ土地であることは確かなのですが、貸している側にとっては「底地」であり、借りている側の視点 では「借地」ということです。

  地主(底地の所有者) 借地人(借地権を持つ方)
関係性 ・土地を借地人に貸す ・土地を地主から借りる
・戸建住宅などを建てる
地代 ・借地人より受け取る ・地主に支払う
借地権の売買時 ・借地人より承諾料を受け取る ・地主に承諾料を支払う
底地の売買 ・購入者(買主)が見つかれば可能

・売却によって地主が変わったあとでも、
借地の契約期間内であればそのまま住み続けることも可能

固定資産税/都市計画税 ・土地に対する固定資産税/都市計画税 ・建物に対する固定資産税/都市計画税

 

借地人は地主から土地を借りる代わりに、地代を地主に納めることで関係が成立しています。月々の期日までに地代が支払われていれば何の問題もありません。
ただし、何らかの事情で地代の支払いが滞った場合、滞納期間によっては、借地契約の解除となる場合も考えられます。先述した「消滅時効」にもつながるかもしれません。
底地の予防管理を導入することで、借地人の状況(健康面、経済面)を把握することが可能です。


更新料の支払いに関する問題
借地契約によっては、更新料の支払いを契約に含めていないことが想定されます。 特に口約束で契約書を作成していない場合には注意が必要です。


旧借地法(1992年7月31日までの契約)

 建造物の種類  初回設定期間 更新後の期間
 木造  30年(最低でも20年)  20年
 鉄骨造・鉄筋コンクリート造  60年(最低でも30年)  30年

 

たとえば旧借地法で契約し、初回30年+更新20年(木造住宅)で次の更新を迎えるのは、契約時から数えて50年後です。当初契約した借地人の子供や孫に代替わりしていることも充分にあり得ます。その際、契約書に更新料についての記載がされていない場合、更新料の支払いを拒まれることもあるかもしれません。
そのようなトラブルを避けるためにも、契約書の有無や、契約書の内容確認が必須です。底地の予防管理には借地契約の見直しも含まれています。

 

底地の予防管理のメリット5:地代の条件の見直し(値上げなど)の相談

借地契約は数十年単位の長期間に渡るため、初回契約の時点と比べて、時間の経過とともに周辺の地価が上昇することもあるかもしれません
その際、地主は借地人に対して、地代の値上げを提案することが認められています。
借地人に土地を貸していても、土地に対する税金は地主が支払うことになります。
税金は年々改定、増税される事がありますので、放置しっぱなしにするのではなく
税額に応じて地代改定をした方がいいでしょう。


地代の値上げを交渉する際に基準のひとつとなるのが、固定資産税と都市計画税です。

・固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
・都市計画税=固定資産税評価額×0.3%

住宅地の場合には(固定資産税+都市計画税)の3倍から5倍、商業地に関しては、(固定資産税+都市計画税)の5倍から8倍が地代の目安と言われています。

 

固定資産税評価額 住宅地の地代の目安 商業地の地代の目安
1,000万円 510,000円~850,000円 850,000円~1,360,000円

3,000万円

1,530,000円~2,550,000円 2,550,000円~4,080,000円
5,000万円 2,550,000円~4,250,000円 4,250,000円~6,800,000円

 

底地の予防管理にて、地代の条件の見直しの相談も依頼することが可能です。

 

底地の予防管理のメリット6:借地条件(増改築など)



底地にて借地人が増改築などを行う際には、地主に許可を得る必要があります。 地主と相談の上で実施するのであれば何の問題もありません。
借地契約は数十年単位の期間のため、契約のタイミングによっては、契約書に増改築に関する項目などが明記されていないことも想定されます。

底地の予防管理を導入することで借地契約そのものを見直し、借地条件に関するトラブルを回避できる確率が高まるでしょう。

 

底地の予防管理は将来的な底地の売買の後押しにつながる!のまとめ

 

ここまで、底地の予防管理がもたらす6つのメリットについて紹介してきました。


・底地の不法占有(不法占拠)を防ぐ

・底地への不法投棄の防止

・転貸や無断転貸(また貸し)の防止

・地代や更新料の支払いに関する問題の解決

・地代の条件の見直し(値上げなど)の相談

・借地条件(増改築など)

 

今回は特に不法投棄について解説しましたが、更新料や地代の改定も地主にとって大切な事柄です。

今後は更新料・地代改定についてを深掘りして解説します。

 

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