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【法律お役立ち情報】第9回 隣地との境界トラブル

はじめに

土地の所有者にとって、隣地との境界を巡るトラブルは身近な問題の一つです。ブロック塀を設置する際や土地を売却する際など、様々な場面で問題が表面化します。今回は、土地の境界の基本的な考え方と、トラブルになった際の解決方法についてご説明します。

境界とは

「境界」とは、自分の土地と隣の土地とを分ける線のことです。法律上、境界には主に2つの意味合いがあります。
  • 所有権界(しょゆうけんかい): 当事者間の合意などによって定められた、実際の所有権の及ぶ範囲を示す境界。
  • 筆界(ひっかい): 土地が最初に登記された際に、公的に定められた境界線。法務局に記録されています。
本来、この二つは一致するはずですが、歴史的な経緯でずれていることもあります。境界は財産価値や権利範囲を定める重要なものであり、トラブルになるとご近所関係の悪化や売買の支障にも繋がります。

境界を特定する方法

境界をはっきりさせるためには、いくつかの段階的な方法があります。

1. 話合い

まずは隣地の所有者と話し合い、お互いの認識を確認することが第一歩です。土地家屋調査士や弁護士などの専門家を交えて協議することで、円満な解決が期待できます。

2. 境界確認書の作成

話合いで合意に至った場合は、後のトラブルを防ぐため「境界確認書」という書面を作成します。測量図を添付し、合意した境界を明確にした上で、双方が署名・押印します。

3. 筆界特定制度

話合いで解決しない場合、法務局に申請して「筆界(登記上の境界)」を特定してもらう制度です。筆界特定登記官が、地図などの資料や専門家の意見をもとに筆界の位置を判断します。ただし、これはあくまで登記上の境界を明らかにするもので、「所有権界」とは異なる場合、最終的な解決にならないこともあります。

4. 境界確定訴訟

最終的な解決手段として、裁判所に境界の確定を求める訴訟があります。裁判所は、地図や証言などあらゆる証拠を考慮して、最終的な境界線を判断します。この訴訟は、当事者が任意に取り下げることができず、裁判所の判断によって紛争に決着がつくという特徴があります。

まとめ

境界トラブルは、精神的な負担が大きく、長期化しやすい問題です。最も重要なのは、正しい境界線を普段から明確にしておくことです。
  • 自分の土地に境界標(境界を示す杭など)があるか確認する。
  • 境界標が不明確であったり、そもそも存在しなかったりする場合は、土地家屋調査士などの専門家に依頼して測量を行う。 このような準備をしておくことが、将来のトラブルを未然に防ぐことに繋がります。
■執筆者・プロフィール 戸門 大祐(とかど・だいすけ)戸門法律事務所 代表弁護士
2002年 明治大学法学部卒業
2004年 明治大学大学院 法学研究科修了
2006年 明治大学法科大学院修了
2007年 司法研修所修了(第60期)、弁護士登録(小宮法律事務所)
2014年 戸門法律事務所開設

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