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【法律お役立ち情報】第6回 借地の更新料・承諾料について

はじめに

地主が借地人(土地の借り主)から得られる収入には、地代のほかに「更新料」や各種の「承諾料」があります。 今回は、どのような場合にこれらの金銭を請求できるのか、またその金額はどのように算定されるのかについてご説明します。

更新料について

請求の条件 更新料は、賃貸借契約の更新に際して当然に支払われるものではありません 。請求するためには、 更新料を支払う旨の特約が賃貸借契約書などに定められている必要があります。 特約がない場合、借地人が紛争を避けるために任意で支払うことはありますが、支払いを拒否されれば得ることはできません 。過去に更新料の支払い実績があったとしても、裁判所は特約がない限り更新料の請求を認めないのが現状です。 更新料の相場 金額に決まった算定方法はありませんが、一般的には 借地権価格の5%~10%程度と言われています。

承諾料について

1. 譲渡承諾料(名義書換料)

請求できる場合 借地人が借地権を第三者に譲渡するためには、地主の承諾が必要です 。その承諾をする際に、対価として支払われるのが譲渡承諾料です。 承諾料の相場 一般的には、 借地権価格の10%前後が相場です。 地主が承諾しない場合 地主が譲渡を承諾しない、あるいは承諾料の金額で折り合いがつかない場合、借地人は裁判所に許可を求めることができます(借地非訟手続) 。裁判所は、譲渡しても地主に不利にならないと判断すれば、承諾料の支払いを条件として譲渡を許可します。

2. 増改築承諾料

請求できる場合 土地の賃貸借契約では、借地上の建物について増改築を禁止する特約が定められているのが通常です 。この特約がある場合、借地人が建物を増改築するには地主の承諾が必要となり、その際に支払われるのが増改築承諾料です。 承諾料の相場 増改築の規模や程度によりますが、 更地価格の3%~5%前後とされることが多いようです 地主が承諾しない場合 この場合も、借地人は裁判所に増改築の許可を求めることができます 。裁判所が相当と判断すれば、承諾料の支払いを条件として増改築が許可されます。

3. 条件変更承諾料

請求できる場合 土地の賃貸借契約では、建物の種類・構造・用途などを制限する「借地条件」が定められていることが多くあります 。例えば、「木造」から「鉄筋コンクリート造」の建物へ建て替える場合など、この条件を変更するには地主の承諾が必要となり、その際に支払われるのが条件変更承諾料です。 承諾料の相場 事案によって異なりますが、 更地価格の5%~100%前後とされています。 地主が承諾しない場合 この場合も、借地人は裁判所に借地条件の変更を求めることができます 。裁判所が諸事情を考慮して相当と判断すれば、承諾料の支払いを条件として条件変更が認められます。

借地人との交渉

借地人から借地権譲渡や増改築などの申出があった場合、地主としては、裁判所の借地非訟手続になった場合の見通しを立てながら、申出を承諾するか否か、承諾料の金額について交渉を行う必要があります。 借地に関する事情は様々で、見通しの判断が難しいケースも多いため、借地人から申出があった場合は専門家へ相談することをお勧めします。
■執筆者・プロフィール 戸門 大祐(とかど・だいすけ)戸門法律事務所 代表弁護士
2002年 明治大学法学部卒業
2004年 明治大学大学院 法学研究科修了
2006年 明治大学法科大学院修了
2007年 司法研修所修了(第60期)、弁護士登録(小宮法律事務所)
2014年 戸門法律事務所開設

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