はじめに
土地や建物の賃貸借契約書を作成する際、将来の紛争を防ぐために様々な「特約」を取り決めることがあります。原則として、当事者双方が合意すれば内容は自由に決められますが、その内容によっては借地借家法などの法律に基づき「無効」とされてしまうリスクもあります。 そこで今回は、実務上、問題となりやすい特約をいくつかご紹介したいと思います。1. 敷引特約(しきびきとくやく)
敷引特約とは 建物の賃貸借契約が終了し、預かった敷金を返還する際に、あらかじめ取り決めた一定額を差し引く(敷引きする)ことを定めた特約です。 目的と注意点 通常の使用で生じる損耗(通常損耗)や経年変化の補修費用は、原則として賃貸人の負担です2. 賃料の減額を禁止する特約
原則 一度決めた賃料も、その後の固定資産税の増減、土地建物の価格変動、経済事情の変化などによって不相当となった場合は、当事者双方が賃料の改定(増額または減額)を請求できます。 特約の有効性 賃貸人としては「賃料の減額は行わない」旨の特約を入れたい場合があります3. 残置物の所有権を放棄する特約
目的 賃借人が退去時に私物(残置物)を残したまま連絡が取れなくなってしまうケースに備えるための特約です4. 賃借人の死亡による契約終了の特約
原則 賃借人が死亡した場合、その賃貸借契約は相続人に引き継がれるのが本来の形です。終わりに
賃貸借契約の特約には、上記以外にも様々なものがあります■執筆者・プロフィール
戸門 大祐(とかど・だいすけ)戸門法律事務所 代表弁護士
2002年 明治大学法学部卒業
2004年 明治大学大学院 法学研究科修了
2006年 明治大学法科大学院修了
2007年 司法研修所修了(第60期)、弁護士登録(小宮法律事務所)
2014年 戸門法律事務所開設
2002年 明治大学法学部卒業
2004年 明治大学大学院 法学研究科修了
2006年 明治大学法科大学院修了
2007年 司法研修所修了(第60期)、弁護士登録(小宮法律事務所)
2014年 戸門法律事務所開設
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